健康診断前日に注意すること(食事・飲酒・運動・喫煙など)

医者が「注意マーク」を強調している画像

毎年受ける健康診断は、身体の変化や身体の中身を点検する大切な機会です。有効に活用し、健康管理に生かしたいものです。

検査を受ける際は、結果を少しでも良くしたい、メタボリックシンドロームと言われたくない、病気になりたくない、治療を必要とするほど悪くなりたくない、健診後の保健指導や産業医面談に呼ばれたくない、健診結果を基準値内に収めたい(健康維持)など、さまざまな気持ちで受診すると思います。

いつもと同じ生活スタイルを続け、自然体で受ける(日頃の身体の状態を確認する)のが一番良いですが、事前に生活習慣を整えることで検査結果が好転する項目もあります。また、検査の妨げになる要因は避けることも重要です。

今回は、これから健康診断を受ける方へ、健診結果への影響を減らす対策、受ける前の過ごし方のポイントをご紹介いたします。

目次

健康診断前日における注意点

前日の準備、健康的なイメージ画像

3ヶ月程前から減量や検査結果改善のための対策をたてる方も珍しくありませんが、一年中、理想とする生活習慣を続けるのがベストです。1ヶ月前、2週間前、2~3日前~前日など、いつから対策を立てるかによって検査結果への影響は大なり小なりあるものです。

食事、飲料、飲酒、運動、タバコ、服薬やサプリメントについてそれぞれの注意点を紹介します。

食事(間食を含む)、飲料の注意点

健康診断の前日は、帰宅時間を調整するなど、早めの夕食、早めの就寝を心がけるようにします。水分は適度に補給しておくと良いでしょう。脱水ぎみになると、血液が濃くなり、検査値に影響することがあります。

食事メニュー

消化の良いものを早めの時間帯に食べるようにします。医療機関(健診機関)からの指示は必ず確認しましょう。とくに、胃カメラ検査やバリウム検査、大腸内視鏡検査などがある方は、注意点が異なります。

一般的なオススメのメニューは、揚げ物以外の和食を選び、低脂肪の食材を使った料理が良いです。またむくみの原因になる塩分も控えめにしましょう。

● 麺類

うどんをチョイス
油揚げ、卵、豆腐もOK

NG(控えた方がよい)

  • かき揚げ、海老天婦羅など
  • 炭水化物が重なるようなセットメニュー
  • ラーメン、インスタントラーメン
  • 替え玉
● パン

食パン、バターロールなどをチョイス
目安量は、食パン6枚切り一枚程度、バターロール2個程度

NG(控えた方がよい)

  • 菓子パン(メロンパン、クリームパン、デニッシュ系のパンなど)
  • 揚げ物入りの惣菜パン
● ごはん

普通茶碗一膳程度に(約150g程度)
お粥、白米

NG(控えた方がよい)

  • 大盛り、丼物、おかわり、芋類の食べ過ぎ
● おかず

焼き魚、魚肉ソーセージ、煮魚、刺身、豆腐、鶏のササミ、脂の少ない肉、卵、豆腐などをチョイス

NG(控えた方がよい)

  • 脂の多い中華料理
  • 天ぷら・唐揚げ・コロッケ・トンカツなどの揚げ物類
  • 脂の多い肉(バラ肉・霜降り肉・ソーセージ・ベーコン・ハンバーグなど)
  • 焼き肉
  • ファーストフード
  • カレー
  • 洋食
● 間食

少量の果物などをチョイス

NG(控えた方がよい)

  • ケーキやクッキーなどの洋菓子
  • 乳脂肪分の多いアイスクリーム、チョコレート、ポテトチップスなどのスナック菓子
  • バター・油・砂糖が多く含まれるもの

胃カメラ検査があれば、食物繊維の多い根菜類、海草類、キノコ類、蕎麦や玄米も避けます。バリウム検査があれば、チーズやヨーグルトなどの乳製品も控えましょう。

前日の夕食は何時までがよい?

翌日午前の検査であれば、検査の10時間前までに済ませます。夜9時までには消化の良いものをいつもより少なめに食べるのが一般的です。できるだけ、夜8時前までには夕食を済ませておくと良いです。

翌日午後の検査の場合でも、高カロリー、脂肪の多いおかず、主食が多くなることのないように気を付け、いつもより少なめを心がけましょう。

前日は、焼き肉や、食べ放題、飲み放題、宴会を避けるため、検査の日程をあらかじめ調整し、確認することが大切です。できるだけ、2~3日前から飲み過ぎ食べ過ぎには注意して羽目をはずさないようにしてくださいね。

避けるべき飲み物

脂肪分、糖分の含まれる飲み物は避けます。砂糖入りコーヒー(微糖や加糖)、甘い紅茶や炭酸飲料、フルーツジュース、スポーツ飲料、クリーム入りの甘いドリンク、エナジードリンク、栄養ドリンクなどは控えるようにしましょう。

コーヒーは飲んでも良い?

前日のブラックコーヒーであれば、通常は検査に支障ありません。ただし、コーヒー・紅茶・緑茶などには、カフェインが含まれるため、睡眠への影響が懸念されます。前日の午後からカフェイン飲料を控え、カフェインの含まれない麦茶・ほうじ茶・白湯・水がオススメの飲み物です。

プロテイン飲料は大丈夫?

食事から取るたんぱく質の代用として、一食に付きプロテイン一回分取るのであれば、支障はないでしょう。ただし、食事から肉類、魚類、豆類、卵などのたんぱく質を既に取っていれば、過剰にならないためにも控えることをお勧めします。

飲酒・お酒における注意点

飲酒の種類や量、いつから控えれば検査結果に影響が出にくいのかなど、気になるものですね。日頃から飲酒習慣のある方や以前から肝機能が高いと指摘されている方は、前日のみではなく、数日前から肝臓を休めると良いでしょう。

健康診断の前日にアルコール類が禁止になる理由

肝臓がアルコールを分解するのに要する時間は、日本酒1合換算(純アルコール約20g)で約3時間かかります。2 合 ~ 3 合飲むと、6時間から9時間かかり、検査直前まで肝臓は休みなく働き続けることになりますので、検査に影響が出てしまうような飲み方は好ましくありません。

肝臓は非常に我慢強い臓器で、検査値が悪くなっても症状がなかなか表れませんが、肝臓への負担は日々積み重なり検査結果に反映されます。前日は、しっかり休肝日を守りましょう。

お酒を飲んでしまった時…何時間前までなら大丈夫?

小腸から吸収されたアルコールが肝臓で分解されるのに要する時間は、日本酒1合換算(純アルコール約20g)で約3時間です。検査の前日にどうしても飲むことになった場合は、適量の1合以内に留め、少なくとも前日夜8時から9時までには切り上げましょう。

アルコールを飲むと、つい気持ちが大きくなり、食欲が増し、食べ過ぎ飲み過ぎの原因になります。間違っても健康診断前日の深夜まで飲むことにならないように充分気をつけてください。

運動における注意点

運動を行う場合は、強度を下げて、人と会話のできる強度の運動(ニコニコペースで歩くなど)に留めましょう。ランニング、筋力トレーニング、テニス、水泳などの高強度の運動を行うと、尿酸値や肝機能を上げる原因になります。

過剰な運動をしない方がよい?

テレワークが浸透し、身体活動や運動量が少なくなる人が増えている中で、運動習慣があることは、健康を保ち、生活習慣病予防に有効な対策です。

しかし、検査前にバーベルを上げるような高強度のトレーニング、ランニングやジョギングなどを行うと、尿酸値や肝機能などの検査数値が上がりやすく、尿中に蛋白が出やすいなど、正しい結果が得られなくなります。

健康診断の前日は、過剰なトレーニングや息が上がってしまうようなランニングなどの運動は控えた方がよいです。

前日の性行為は問題ない?

尿検査の際に、精液が混ざると精液の成分のたんぱく質による影響が出ることがあります。検査の前日は、性行為は避け、自慰行為も控えるようにしましょう。

タバコ・喫煙における注意点

喫煙による一過性の影響で血圧が上がり、心拍数が増えるため、お勧めできません。

タバコを一本吸うとその影響は、15分以上続き、二本連続して吸うとさらに長引き30分以上にわたり影響が続くと言われています。当日はもちろんのこと、前日から控えるようにしましょう。

喫煙習慣による害はよく知られていますが、長年吸い続けることによる悪影響を防ぐためにも、常日頃から禁煙や節煙を検討し、取り組むことをお勧めします。

睡眠における注意点

前日は夜更かしをせず、できるだけ早めに休み、体調を整え、寝不足にならないように気をつけましょう。

覚醒作用のあるカフェインが含まれる飲料を前日の午後から控えます。カフェインは入眠を妨げ、睡眠時間を短縮させると言われています。また、寝る2~3時間前からスマホやパソコンの使用も控えるようにしましょう。液晶画面から放出されるブルーライトによる弊害で入眠が妨げられてしまいます。

また、睡眠の質を高めるため、ぬるめの湯(38~40℃)にゆっくり浸かり(目安は15~20分程度)、身体の緊張を和らげ副交感神経を優位にすることで、心身の鎮静化を促すと良いでしょう。

薬・サプリの服用における注意点

持病のある方は、原則あらかじめ主治医への相談が必要です。一般的には、てんかん、血圧、心臓などの薬を服用されている方は、主治医の指示に従い、少量の水で朝7時までに服用します。

ビタミンCなどのサプリメントは、尿検査結果に影響が出る場合があります。2~3日前から控えておきましょう。一般的にビタミンCは、摂取後2時間くらいで尿中に出始めます。

サプリメントは疲れやすいなど身体の不調の改善、健康管理の一環として体調を整える目的、病気予防や検査結果の改善効果を期待して服用されることが多いと思います。サプリメントといえども、肝臓や腎臓へ負担がかかり、検査結果に所見が表れることがあります。所要量を守り、複数服用している方は同じ成分の重複を避け、適切に活用することが大切です。

とくに、医療機関で処方されている薬があれば、検査を受ける、受けないに関わらず、サプリメントとの飲み合わせを確認する必要があります。主治医や薬剤師に相談しておくことをお勧めします。

生理中における注意点

生理中は、基本的に子宮がん検診・尿検査は受けられません。尿中に血液が混入すると潜血反応が出てしまい、尿蛋白も陽性になりやすく、正しい結果が得られなくなります。生理の予定日の予測ができれば、日程調整する方が良いでしょう。便の検査も同様で、生理日を避けて採取しましょう。

健康診断前(当日)における注意点

当日の朝、イメージ画像

問診票、採尿と検便などの持ち物を点検し、忘れずに持参しましょう。

血圧が気になる人は、時間にゆとりを持って、早めに到着するように心がけましょう。血圧測定までに深呼吸をして呼吸を整えておくことが大切です。

朝の一服は避けましょう。タバコを吸うと血管が収縮して、血圧が上昇します。一本のタバコによる影響は15分以上持続します。どうしても吸いたい方は、2時間以上前に1本のみにしましょう。くれぐれも連続して複数本吸わないように注意してください。

コップ一杯程度の水は、差し支えありません。脱水予防にもなるため、少々補給しておくと良いでしょう。医療機関の指示があれば従ってください。

腹囲測定の際は、油断せず(お腹を完全に緩めすぎないようにやや緊張感を保ち)、足幅は肩幅より広くなり過ぎない(狭め)ことを意識すると良い結果が出やすいです。あらかじめ自宅でメジャーなどを使い確認しておくとよいですね。

当日、朝食は食べていい?

午前中に検査予定の方は、朝食は食べられません。血液検査への影響があり、またバリウム検査が受けられなくなります。腹部エコー検査へも影響が出ます。

検査が午後の場合は、医療機関の方針にもよりますが、一般的に朝7時くらいまでに脂っこいものは避け、いつもより少なめに朝食をとります。脂肪分が多く含まれる食品は、消化に時間がかかり胃の中に長く留まります。食べる量にもよりますが、野菜・炭水化物の胃内停滞時間は約2~3時間、脂肪分の多く含まれる肉類や揚げ物は約4~5時間です。たんぱく質は炭水化物と比べて、停滞時間が長めなことに注意が必要です。

健康診断前に気をつけることまとめ

  • タバコは極力吸わないようにします。
    (健康診断の有無に関わらず、禁煙・節煙を検討しましょう)
  • 禁酒をします。
    (毎日飲酒の習慣がある方は健康診断の前日のみではなく、2週間から1ヶ月以上を目安に
     禁酒にチャレンジすると、肝機能や脂質代謝が改善しやすいです)
  • 前日の飲み会や宴会は控えましょう。
  • 健康診断の前日の食事は、夜9時までに消化の良いものをいつもより少なめに食べます。
  • 健康診断が午前の場合は、朝食を食べてはいけません。
    (水はOKです)
  • 健康診断が午後の場合、朝食の摂取については医療機関の指示に従います。
    (一般的に朝7時くらいまでに脂っこいものは避け、いつもより少なめに)
  • 睡眠をしっかりとり、体調を整えて受けましょう。
    (個人差はありますが身体の疲れを回復するためには、約6時間の睡眠が必要です)
  • 間食はできるだけ控えてください。
  • 飲料はカロリーゼロを選びましょう。
    (アップルジュースなどのフルーツジュースも控えます)
  • 前日のカフェイン摂取は極力控えます。
  • 塩分は控えましょう。
    (調味料の使用・漬物・麺の汁など)
  • 激しい運動は控えます。
  • サプリメントは2~3日前から控えます。
  • 持病があり服薬中の方は、検査前後の服薬方法を確認しておきましょう。
  • 減量が必要な方は、数日前の悪あがきはせず、少なくとも1~3ヶ月を目安に体重コントロールに努めましょう。
    (身体に負担のかけないヘルシーな食べ物へ変更すると、
     検査結果が好転しやすく、結果として体重・体脂肪が減少傾向に転じます)

この記事を書いた人

小田部 淳子

看護師として外科病棟勤務。その後保健師として銀行の健康管理センターにて産業保健、健康管理センターにて人間ドックおよび健診後の保健指導、その後出版社にて健診後の文書指導、特定保健指導、糖尿病重症化事業、電話およびWeb健康相談、電話相談運営、社内研修企画運営、健康関連原稿の業務を歴任。現在、特定保健指導および原稿の業務に携わっている。

【保有資格および研修終了】

  •  看護師
  •  保健師
  •  養護教諭二種免許
  •  一種衛生管理者
  •  産業保健指導者、ヘルスケアトレーナー
  •  ピンクリボンアドバイザー初期認定
  •  東京糖尿病療養指導士
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