中性脂肪が高くなる原因・下げる生活習慣とは ?

健康診断や人間ドックで中性脂肪が高いと言われたことがある方は、多くいらっしゃると思います。

中性脂肪は、身体のエネルギーの源になるものですが、多すぎると動脈硬化の原因となり、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などにつながる恐れがあります。他の脂質代謝よりコントロールしやすいため、基準値を越えたことのある人は、健康診断の直前であっても、ぜひ下記の情報を参考に生活スタイルを見直しましょう。

中性脂肪の基準値は、10時間以上食事、カロリーのある飲料、間食をしない状態で測定した場合、150mg/dl未満です。特定保健指導対象の対象項目の一つですので、これを下げることで、動脈硬化を基盤とする脳や心臓の病気を防ぐことになります。

中性脂肪は食前と食後では数値が異なりますが、食後を含む随時の数値が175mg/dL以上になると脂質異常症と判断されます。 他の検査と比べると、中性脂肪は、食事と運動の生活習慣に気を付けると、比較的早期に数値の改善が期待できるのが特徴です。

中性脂肪が高い原因をチェックしてみましょう。合わせて中性脂肪を下げる生活習慣をぜひ取り入れてみてください。

目次

中性脂肪が高い原因・下げる生活習慣

アルコールを飲む習慣がある

中性脂肪を下げる飲酒のポイント

週単位で飲酒量を減らす、または禁酒を検討しましょう。アルコールは脂肪の合成を進め、脂肪の分解を妨げます。平均的な飲酒量を今より抑えることは改善への近道です。まずは、今現在週何合飲んでいるのか、把握します。

1日の適量は、日本酒1合(純アルコール20g)=ビール500ml=焼酎原液100ml=ウイスキーダブル1杯(60ml)=ワイン200mlです。

純アルコールの計算方法をご紹介します。アルコール度数を確認し、普段飲んでいるアルコール量を計算してみましょう。

純アルコール量 = 摂取量(ml) × 度数(5%の場合、0.05) × 0.8

【例】ビール500ml(5%)を飲んだ場合のアルコール量

500ml × 0.05(5%) × 0.8 = 20g

週7合以内に収めると、個人差はありますが体重や健康診断結果への影響が少なくなります。できるだけ、控えた方が検査結果は改善しやすいため、近々健康診断の予定のある方や毎年健診結果で基準を超えている人は、アルコールを末長く楽しむためにも、節酒に取り組みましょう。

健康診断や人間ドックを予定している方は、二週間~1ヶ月くらい前から禁酒すると、個人差はあるものの、かなりの確率で数値は改善します。

前回までの健診結果を確認し、検査結果の推移と飲酒量との因果関係を振り返ってみましょう。

禁酒がどうしても難しい場合は、健康診断の2~3日前から休肝日を作るように努力してみてください。休肝日は、検査値の改善以外にも、睡眠の質が良くなる、むくみが取れる、体重が減る、体調の良さを感じるなどのメリットを実感できるはずです。良さを実感できると再挑戦しやすいですね。

休肝日が作れない事情のある方は、適量の飲酒量に留めてください。週単位で減らすようにして、週7合を超えないことが大切です。

甘い飲料を飲む習慣がある

中性脂肪を下げる飲み物対策

飲料は、お茶、水、ブラックコーヒー、無糖紅茶などカロリーや甘みのないものをお勧めします。

果汁を含む甘い飲料、清涼飲料水などカロリーのある飲み物は、中性脂肪以外にも血糖値を急上昇させ糖尿病のリスクも高めてしまいます。まずは、カロリーのない飲料へ変更することが大切です。

見分け方は、パッケージに表示されている栄養成分表示を確認します。

熱量の表示がゼロの飲料を選びます。ゼロ表示であっても甘みのある飲料は、人工甘味料が使用されています。これは、完全にゼロカロリーではなく、100mlあたり5kcal未満となっています。

これらは、完全にゼロカロリーではありませんが、どうしても甘い飲料の欲しい方は、検査結果や体重への影響が少ない飲料となっているため、活用するとよいでしょう。ただし、常用すると、甘い飲料以外を受け付けなくなるため、気を付けたいものです。

カフェラテなどは、牛乳が使われています。牛乳などの乳製品は、カルシウムの補給、認知症や脳梗塞の予防、血圧の安定に役立ちます。ただし、乳脂肪分は動物性脂肪が多く含まれるため、できるだけ低脂肪タイプを選ぶようにしましょう。

砂糖なしのものであれば、1日一杯程度は差し支えないでしょう。

コーヒーに入れるフレッシュは、油が原料ですので、控えるようにします。

お菓子などの間食の習慣がある

中性脂肪を下げる間食の取り方

間食の習慣のある方は、これをやめるまたは、一日100~200キロカロリーに抑えることで、余ったエネルギーか少なくなり、中性脂肪値は改善しやすくなります。とくに減量中は、頻度や量を調整し、1日100キロカロリーを超えないようにしましょう。1日の摂取カロリーが抑えられ、体重管理もしやすくなります。

特別な日や頑張ったご褒美に食べるなど、あらかじめ条件を決めておき、頻繁にならないようにします。

また、体重が増えると内臓脂肪もそれなりに増加してしまいます。内臓脂肪が増えると、中性脂肪も上がりやすくなるため、体重管理は大切です。毎日計り、増えたら体重がもとに戻るまで間食を我慢するなど、自分なりに一線を超えないように微調整することが大切でしょう。

間食は、洋菓子 → 和菓子 → 果物やヨーグルトの順番にカロリーが低くなります。

クッキー・チョコ・ケーキ・シュークリームなどの洋菓子、菓子パン、かりん糖・揚げ煎餅などの一部の和菓子、スナック菓子は、脂質が多く含まれ、洋菓子・かりん糖・菓子パンなどは、砂糖も多く使われていますので、小さいものであっても、油断は禁物。

他の大福・どら焼などの和菓子より杏仁豆腐・ゼリー・寒天・ところてんなど水分の多いもの、ヨーグルト・果物などはカロリーが低めです。

お菓子などを見えるところに保管しない、常備しない、余分に買わないなどの工夫も大切ですね。

欠食や過食をすることがある

中性脂肪を下げる食べ方

1日三食、規則正しくできるだけ同じ時間帯に食事をする、食事量も過不足なく、バランスよく食べることが大切です。一度にたくさん食べると、余ったエネルギーが多くなり、結果として中性脂肪の上昇を招きます。

欠食すると、1日の摂取カロリーが同じであったとしても、脂肪が蓄積しやすくなり、中性脂肪は高くなります。

1日の摂取カロリーを必要以上にとらないことは言うまでもありませんが、摂取カロリーと消費カロリー(基礎代謝+活動量)の収支バランスによって体重は変動するため、毎日体重を確認することが大切です。

参考までに、基礎代謝は、体重・身長・年齢・性別によって多少異なりますが、成人男性は1日 約 1,400~1,500キロカロリー、成人女性は 約 1,100~1,200キロカロリーが目安になります。

※基礎代謝は生命の維持に必要な1日の最低限のカロリーです。1日の消費カロリーの約7割に該当します。残りの3割は、生活スタイルや運動習慣によって変化します。 毎食均等に食事をしたいものですが、できれば食後に活動する朝は、しっかりと食べて、夕食は軽めが済ませることをお勧めします。

揚げ物や脂質の多いものをよく食べる

中性脂肪を減らす食事のポイント

摂取するエネルギーを減らすと、中性脂肪を減らすことができます。

唐揚げや天婦羅などの揚げ物、バターや生クリームを使った料理、ファーストフード、かつカレー、ラーメンとチャーハンの組み合わせ、かつ丼や天丼など、一食で1,000カロリーを超えるような食事は、避けましょう。

ヒントは、焼き魚定食や刺身定食などの和定食です。外食の多い方は、メニューをしっかり吟味して、あらかじめ良さそうなお店を探しておきましょう。

魚は不飽和脂肪酸(オメガ3)が豊富に含まれています。とくに青魚はDHAやEPAが多く、動脈硬化を予防してくれます。魚は週に3回以上食べましょう。

このほか、亜麻仁油やえごま油も魚同様の不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。

ご飯のおかわりや大盛り、麺の替え玉を食べる

中性脂肪を減らす主食の食べ方

ご飯などの炭水化物は、体内で中性脂肪の元になります。一食に普通茶碗一膳(150g=250kcal)に抑え、麺類も普通盛り一人前にしましょう。

パスタは、一食当たり乾麺で80gから多くても100gが目安です。乾麺を茹でると2.5倍になり約380kcalです。ご飯1膳分よりはるかに多くなるので、80gで抑えるのが無難です。

また、ご飯を食物繊維を含む玄米に変更する、白米にもち麦などを混ぜると中性脂肪の体内への吸収が抑えられます。 食物繊維が多く含まれている主食に変更しても、1食の量を増やさないように気を付けてくださいね。

野菜を毎日食べていない

中性脂肪を下げる野菜の食べ方

海藻・きのこ・野菜などに含まれる食物繊維は糖質や脂質の吸収を抑える働きをします。食物繊維が十分取れるようにメニューを選び、作り置きをするなど工夫しましょう。

彩りの良いサラダや煮物、お浸し、酢の物などを選び、できれば毎食1~2品取ると、目標摂取量を満たすことができます。

野菜は、旬のものを選ぶと栄養価が高く、価格も抑えられています。また、夏野菜は身体を冷やし、冬野菜は身体を温めてくれるメリットがあるので、季節の野菜を積極的に取りたいものですね。

【夏野菜】なす、きゅうり、トマト、おくら、レタス、ズッキーニ、さやいんげん、ピーマン、ゴーヤ、ししとう、シソ、ミョウガ、しょうが など

【冬野菜】白菜、カボチャ、れんこん、人参、ごぼう、かぶ など

日頃から運動不足を感じる、歩くこと(動く)が少ない

中性脂肪を下げる運動のポイント

歩く時間が1日30分未満、または運動習慣がない方は、まずは1日10分多く歩く(動く)ようにしましょう。自宅で過ごすことが多くなる時期も出てくると思いますが、座って過ごす時間を短くすることにより、足の筋肉を使い、活動量が増えることで、消費カロリーが多くなります。

また、階段があれば、積極的に利用したいものです。階段の登りは、心肺機能が鍛えられ、太ももの筋肉が使われます。筋トレ代わりになる訳です。

階段の降りは、楽だから意味がないと思われがちですが、実は膝を伸ばすときに使われるため筋肉(大腿四頭筋)や股関節を伸ばすときに使われるお尻の筋肉が鍛えられます。

大腿四頭筋を鍛えると、足腰が安定し、踏ん張るような動作がしっかりとできるようになり、歩行がスムーズになります。

階段昇降時は、片足で体重を支える動作が必要なため、平坦な道を歩くよりはるかに運動効果が期待できるわけです。運動が苦手な人は、まずは階段を有効活用しましょう。

テニスやゴルフ、水泳、ヨガ、野球、サッカー、ジム通いなど、定期的に運動している方は、長く続けることで、中性脂肪が下がるだけではなく、生活習慣病関連の検査結果が改善し、体脂肪率の減少、若さを保つなど、健康上のメリットがたくさんあります。

スポーツなどの習慣のない方でも、自宅でエアロバイクをこぐ、30分以上の早足、スクワットや腕立て伏せなどの筋トレを行うことをお勧めします。運動時間の目安は、週に150分以上です。都合や体調に合わせて、無理なく、取り組みましょう。

20才から体重10kg以上増えた、または標準体重を超えている

中性脂肪を下げる体重管理のポイント

体重は個人差があるものの、BMI(体格指数)25を超えていれば、肥満度1に分類されます。筋肉量が多く、体脂肪率が少ない方は、肥満とは言いませんが、生活習慣病関連の検査結果を確認し、基準値内であれば、問題ないでしょう。

体脂肪率は、男性20%以上、女性30%以上になると、肥満と位置付けられます。

体重が基準値ないであっても、体脂肪率や内臓脂肪が多く腹囲が基準値を超えている人は、隠れ肥満、内臓脂肪型肥満と言います。

痩せているからと言って、安心は禁物です。

検査値を改善したくて、付け焼き刃で短期集中的に減量することは、お勧めできません。長い時間かけて、増えた体重や脂肪は、それなりに落とすための時間が必要です。

はやいペースで、減量すると、心身ともに負担がかかり、リバウンドの原因や体調不良を引き起こすことになりかねません。

減量は、月1kgから多くても2kgが目安です。減量をはじめると、体重の多い方ほど順調に体重が減ってきますが、自然にペースダウンしてきます。焦らずにゆっくりと進めていきましょう。

BMI(体格指数)計算方法

BMI = 体重(kg) ÷ {身長(㍍) × 身長(㍍)}

【例】

身長175cm 体重79kg の人

79 ÷ (1.75m × 1.75m) = BMI 25.8

基準値内の体重は?

1.75m × 1.75m × BMI 25 = 76.5kg未満

中性脂肪を下げる生活習慣を取り入れると、個人差はあるものの、2週間程で数値が下がってきます。中性脂肪が高いと言われた方は、さっそく生活習慣のポイントを取り入れてみてください。

「ただし、中性脂肪 300ml/dl以上の場合は、内科のかかりつけ医を持ち、生活面の工夫や留意点、治療の可否を含めて医師に相談し、改善に努めましょう。」

この記事を書いた人

小田部 淳子

看護師として外科病棟勤務。その後保健師として銀行の健康管理センターにて産業保健、健康管理センターにて人間ドックおよび健診後の保健指導、その後出版社にて健診後の文書指導、特定保健指導、糖尿病重症化事業、電話およびWeb健康相談、電話相談運営、社内研修企画運営、健康関連原稿の業務を歴任。現在、特定保健指導および原稿の業務に携わっている。

【保有資格および研修終了】

  •  看護師
  •  保健師
  •  養護教諭二種免許
  •  一種衛生管理者
  •  産業保健指導者、ヘルスケアトレーナー
  •  ピンクリボンアドバイザー初期認定
  •  東京糖尿病療養指導士
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