健康診断と生理日が重なり、対応に困った経験のある方は少なくないと思います。
規則的な生理周期の方はあらかじめ、ある程度予測できるため、計画的に受けられますが、もともと生理不順があったり、健診日程が会社都合の日程で調整ができない場合や、ストレス・過度の疲労・不規則な生活など様々な影響により生理が遅れたり早まることもあるでしょう。個人差はありますが、女性の体は繊細でちょっとしたことで、女性ホルモンへの影響を受けやすいものです。
今回は、尿検査は生理中に受けられるのか、受けた際に正しい結果が得られるのか、生理中の他の検査への影響の有無や対処方法についてご紹介します。
生理中に尿検査は受けられる?
健康診断の日に生理中であっても、健康診断自体は予定通り受けることが可能です。
ただし生理中の場合、検査結果に影響が出ることで、異常か生理による影響かの判断がつかなくなる項目もあります。
影響の出る検査は、尿検査、便検査です。子宮頸がん検診は、出血量が少なければ、受けることは可能です。
いずれも健診機関によって生理中の検査の対処が異なります。
尿検査の結果にどんな影響がある?
生理中は、血液が尿に混入しやすいため、尿潜血反応が陽性になる可能性が高くなり、病気のサインなのか否かの区別がつき難くなります。また、生理中は尿蛋白も陽性になることも珍しくありません。
検査日に生理になった場合の対処方法
当日や前日の夕方以降など、検査の直前に生理になった場合は、当日に受けられる検査のみを受けるとよいでしょう。受付窓口に、必ず生理中であることを申告してください。
生理によって受けられなかった検査を、後日受けることができるかどうかも確認しましょう。
健診機関にあらかじめ相談できる状況であれば、予定通りに受けた方がよいか、日程変更して再予約が可能かを相談し、検討しましょう。ただし、時期によっては予約が取りにくく、健診が数ヶ月先延ばしになる可能性もあります。
日程調整が可能な場合
日程調整が可能な場合は、生理前後3日間は避けて再予約しましょう。
受けられる検査だけを受ける場合
生理による血液混入の影響がない検査は、通常通り受けられますが、婦人科検診、便検査、尿検査については、健診機関の指示を仰ぎましょう。
尿検査と便検査は後日提出可能なこともありますが、健診結果送付までの日程が延びるため、受け付けてくれないこともあります。子宮頸がん検診は少量の出血であれば受けられることもあります(生理開始日から5日目以降)。この場合、本人が希望し、医師の判断により実施することになります。出血量が多いときは、後日再予約となります。
生理中に健康診断を受ける場合の注意点
健診機関の受付窓口に、生理中であることを申告してください。生理中であることはスタッフに伝えられ、配慮されます。なお、尿検査の結果は、生理中であることを考慮されて判定されます。
早めに健診機関に問い合わせましょう
健診機関によって、生理中の検査の対応が異なるため、あらかじめ相談しておくとよいでしょう。健診前に生理になり、健診機関に相談できる状況であれば、予定通りに受けた方がよいか、日程変更可能かどうか相談しましょう。
服用している薬があれば伝えるようにしましょう
主治医がいれば、薬の服用について相談し、指示を仰ぎましょう。
一般的に、血圧、心臓の疾患、精神安定剤など精神の疾患、てんかん、神経の疾患、喘息など呼吸器の疾患は、健康診断の当日に、いつも通り薬を服用します。内服薬は朝(検査の2~3時間前までに)、少量の水で服用しましょう。
ビタミン剤、栄養剤、サプリメント、風邪薬、血糖値の薬、花粉症の胃薬などは、検査終了後に服用します。当日は薬を持参しておきましょう。
生理痛や頭痛などで、鎮痛剤を使用する可能性のある場合は、健診機関へ問い合わせておきましょう。鎮痛剤は、空腹時に服用すると胃の粘膜が荒れる可能性があります。また、鎮痛剤の種類によっては血液をサラサラにする成分が含まれていることがあります(バファリンなど)。通常の血液検査や尿検査には影響しませんが、胃部内視鏡検査(胃カメラ)などの予定があれば、避けるようにしましょう。
生理中に受けられない検査は?
生理中に受けられない検査には、尿検査・便検査・子宮がん検査などがあります。
尿検査・便検査
尿検査は、生理中に尿潜血や尿蛋白が陽性になる可能性が高いため、避けた方がよいでしょう。受けること自体は可能ですが、異常の有無の判定ができなくなります。尿検査の結果は、生理中であることを考慮されて判定されます。
便検査は、感度の高い検査です。生理による出血か他の部位からの出血か区別できません。便潜血反応が陽性になると精密検査(大腸の詳しい検査)が必要になるため、生理中および生理後3日間は避けるようにしましょう。
子宮がん検診
健診機関の判断によりますが、子宮頸がん検診は少量の出血であれば受けられることもあります(生理5日目以降)。この場合、本人が希望し、医師の判断により実施することになります。出血量が多いときは、後日再予約となります。
子宮体がん検診は、子宮粘膜の細胞を正しく採取できない可能性があり、また不正出血の有無が確認できないため、後日改めるようにしましょう。
また、婦人科検診の数日前より性交渉や膣洗浄は避けることが望ましいとされています。
乳がん検診
検診を受けることは可能ですが、生理前や生理中はホルモンの影響により乳腺が張っています。個人差はありますが、マンモグラフィ検査は、乳房を圧迫する検査で生理前や生理中は痛みをより感じやすくなります。
また、乳腺が張っていることで、画像診断が難しくなる可能性もあるため、乳腺の張りのない生理後、数日経過してから受けるとよいでしょう。
まとめ
健康診断は、できれば一度に済ませたいですね。日程を決める際、生理周期をカレンダーなどで確認して、再予約の手間や検査日程が数日に渡らない日を予約しましょう。
生理と健診が重なり、受けられなくなった検査への対応や当日の対応は、健診機関により異なります。あらかじめ情報収集しておき、自分の希望や都合に合った健診機関を選ぶとよいでしょう。年に一度の健診を有効に活用し、健康管理に役立てましょう。
尿検査の詳しい解説はコチラ
この記事を書いた人
小田部 淳子
看護師として外科病棟勤務。その後保健師として銀行の健康管理センターにて産業保健、健康管理センターにて人間ドックおよび健診後の保健指導、その後出版社にて健診後の文書指導、特定保健指導、糖尿病重症化事業、電話およびWeb健康相談、電話相談運営、社内研修企画運営、健康関連原稿の業務を歴任。現在、特定保健指導および原稿の業務に携わっている。
【保有資格および研修終了】
- 看護師
- 保健師
- 養護教諭二種免許
- 一種衛生管理者
- 産業保健指導者、ヘルスケアトレーナー
- ピンクリボンアドバイザー初期認定
- 東京糖尿病療養指導士